豊かな山懐に抱かれる徳島県の秘境「祖谷」。日本三大秘境にも選ばれるこの地は、人と自然が共に暮らす姿を感じることができる貴重な場所でもあります。
今回は、懐かしい日本の原風景が残る隠れ里「祖谷」を味わい尽くす、7つの方法をお届けします。
1. 山霧に覆われる天空の里「落合集落」で人々の営みを感じる
「重要伝統的建造物群保存地区」に指定された東祖谷の落合集落。
V字谷が連なる祖谷の地形に、平地はほとんどありません。そのため、民家は斜面に沿って建てられています。その中でも、落合集の高低差は390m。東京タワーの高さよりも高い山の急斜面にへばりつくように民家が建てられており、対岸の「落合集落展望台」からは集落全体が一望できるようになっています。
山霧の切れ間から、ノスタルジックな茅葺き民家や急斜面の畑で農作物を育てる人々が顔をのぞかせ、人と自然が共に生きるそこはかとないパワーを感じます。
【住所】徳島県三好市東祖谷落合
【料金】無料
【営業時間】9:00-17:30
【Webサイト】
http://www.miyoshinavi.jp/02miru/detail.php?genr=101&area=1&uid=SS000071
2. 大自然に威風堂々と挑む「小便小僧」を観察
深いV字谷が連なる祖谷渓の大自然めがけて、放尿ポーズをとる小便小僧の対比がユーモラスなこの光景。
その昔、祖谷の子供たちがこの崖で度胸試しをした逸話を元に、この像がつくられたのだとか。
秋は紅葉で谷底から峰までが色鮮やかに染まり、冬は辺り一面白い雪に覆われる中、この断崖絶壁で度胸試しを続ける小便小僧。このひたむきな姿に、敬意すら抱いてしまうかもしれません。
3. 「奥祖谷 かずら橋」を渡り自然のぬくもりを感じる
奥祖谷の緑豊かな峡谷に架かるかずら橋。この橋は、重さ5トンにもなるシラクチカズラ(サルナシ)で作られたもので、3年ごとに人の手により架け替えが行われます。自然そのものでつくられた橋は、渡ってみるとギシギシと軋み、空いた橋桁からは祖谷川がまる見えで、スリル満点。
欄干を掴んでみると、水分をよくふくんだシラクチカズラに自然のぬくもりを感じます。
その昔、源氏と平氏の戦いに敗れこの秘境に逃げてきた平氏が、源氏の追っ手から逃れるために、切り落としやすいシラクチカズラで橋をつくったという説があるこの橋。当時のストーリーを思い浮かべながら橋を渡ってみると、また違う面白さがあります。
かずら橋は祖谷にもう一箇所ある。
穴場絶景スポット「二重かずら橋」へも足を伸ばそう
奥祖谷の隠れた名所がこの二重かずら橋。二本の橋が寄り添うように架かっているため、通称「男橋女橋(おばしめばし)」とも「夫婦橋(みょうとばし)」とも言われています。二重かずら橋は、まだ観光客もまばらな穴場スポット。
奥祖谷の大自然を静かに堪能するのにおすすめです。
【住所】三好市東祖谷菅生620
【料金】大人:550円、小人(小学生):350円
【営業時間】日の出~日没
【Webサイト】
http://www.miyoshinavi.jp/02miru/detail.php?genr=101&uid=SS000041
4.変形岩がそそり立つ「大歩危峡」を遊覧船で舟下り
大迫力の変形岩やV字谷を間近で体感できる大歩危峡。長い年月をかけて培われた自然の産物から、日本列島の成り立ちがわかる貴重な場所として、「国指定天然記念物」にも指定されています。
遊覧船に揺られ、不思議な形をした巨大な岩々を見ながら大自然の神秘を感じましょう。
5.日本三大秘湯「祖谷温泉」で至福の時を過ごす
祖谷の深い谷底にある源泉掛け流しの湯、祖谷温泉。北海道のニセコ薬師温泉、青森県の谷地温泉とともに日本三大秘境に数えられています。
ケーブルカーで山々が織りなす大パノラマの絶景を堪能しながら、傾斜角42度の断崖を降りて温泉まで……。アルカリ性でミネラル成分を含んだ、まったりとした感触のお湯は、美肌の湯と称されています。
森の奥から響く小鳥のさえずりや、川のせせらぎを聴きながら至福のときを味わえるでしょう。
【住所】徳島県三好市池田町松尾松本367-28
【料金】(露天風呂)大人:1,700円、小人:900円
(展望大浴場)大人:600円、小人:300円
【営業時間】17:30-18:00 ※受付は17:00まで
【Webサイト】
https://www.iyaonsen.co.jp/
6.「天空の村・かかしの里」のかかし達に会う
山奥ののどかな集落を歩いていると、突如現れるたくさんのかかし達。
どこか身近な人に似ているような、それぞれに個性があるかかし達の表情は見ていて飽きません。
この集落がある東祖谷名頃地区は、高齢化や過疎化が進む「限界集落」で、集落の人口より、かかしの人口が多い(180体以上)ということでも知られています。
廃校になった学校にも、バス停にも驚くほどたくさんのかかしが佇んでいます。
それぞれに井戸端会議をしたり、農作業をしたりして過ごすかかし達は、たくさんの人が戻って来てくれるのを待ちわびているようです。
【住所】徳島県三好市東祖谷菅生191
【料金】無料
【Webサイト】
http://miyoshicity-kankokyokai.or.jp/nature/tenku_kakashi
7.「農林漁家民宿」に泊まり山村の暮らしをしてみる
農林漁家民宿とは、山村の暮らしを体験できる滞在型の施設です。
祖谷には数々の農林漁家民宿があり、その施設により提供している体験も様々。そば作りや農作業や薪割りなど、都会では味わえない山村ならではの体験ができます。
古民家を改装した昔ながらの建築様式の宿もあり、囲炉裏を囲みながら祖谷に住む人たちと一緒に過ごす時間は貴重な体験となるでしょう。
筆者が宿泊した
「田舎暮らし体験宿 カジヤ祖谷浪漫亭」のお食事。
地元で採れた食材を使った料理は絶品。祖谷を知り尽くした亭主のお話も楽しみのひとつです。
【祖谷周辺の農林漁家民宿はこちら】
http://nishi-awa.jp/sora-acmo
以上、徳島県の秘境「祖谷」を味わう7つの方法でした。
祖谷には他にも、数々の絶景や、大昔から伝わるおもしろい伝説が潜んでいます。実際に足を運んで、隠された魅力を見つけてみてはいかがでしょうか。