愛知県知多半島の西海岸に位置する常滑(とこなめ)市。日本六古窯のひとつ「常滑焼」は全国的にも有名で、窯業は市一番の産業でもあります。
そんな焼き物の街・常滑は、見て、触れて、体験できるスポットがたくさん。今回は、レトロだけど新しい焼き物の街・常滑をのんびり巡るプチ旅にご案内します。
巨大招き猫にご挨拶!とこなめ見守り猫 「とこにゃん」&「招き猫通り」へ
招き猫の生産量が日本一の常滑。街を歩くと橋の欄干や郵便ポストの上など何気ないところで猫の置物を見つけることができます。
名鉄「常滑駅」から東へ5分ほど、常滑焼の展示や販売も行う観光情報の窓口の「陶磁器会館」に向かう途中には、コンクリートの壁から飛び出すように飾られた、たくさんの招き猫たちがお出迎え。
ここは「招き猫通り」と呼ばれ、常滑市に縁のある陶芸作家さん39人が手がけた「御利益陶製招き猫」が39体、行き交う人を出迎えてくれます。
作家さんの作風に合わせて一体一体姿形が異なり、その表情や色使いもとても個性的。そしてそれぞれに『縁結び』『心願成就』などの御利益が込められているのだとか。
一体ずつ、心を込めてお願いしていけば、39のお願いを叶えてくれるかもしれませんよ。そんな猫たちと常滑市を壁の上から見つめるのが、とこなめ見守り猫「とこにゃん」です。
とこにゃんは幅6.3m、高さ3.8mの巨大招き猫。
『大きな耳』『まあるい顔』『大きく垂れた目』の「常滑系招き猫」と呼ばれる顔で、現代の招き猫のスタンダードとなる顔と言われています。愛嬌のあるツンデレ顔が何ともキュートです。
そのとこにゃんを不思議そうにじっと見つめる猫や、あちこちでくつろぐ猫の姿が。
実はこれも本物そっくりに作られた猫たちで、その数は全部で11体。どの猫も本物みたいにリアルで、とこにゃんの想像以上の大きさに二度見、猫たちのリアルさに三度見しちゃうかもしれません。
猫好きじゃなくてもつい足を止めてしまう、癒しスポットですね。
歴史と文化の香りが残る「やきもの散歩道」をお散歩
「やきもの散歩道」は、中心市街地の小高い丘に設けられた、常滑観光を代表する散策コース。
招き猫通りの先にある陶磁器会館をスタート地点に、登り窯や土管坂のある約1.6kmを1時間ほどかけて廻るAコースと、ちょっと足を伸ばし、常滑の陶磁器の歴史や文化を学びながら巡るおよそ4km・約2時間半のBコースの2コースがあります。
まず初めはAコースで常滑の街並みを散策し、その後もっとじっくり見学施設などを巡りたい方はBコースや各施設を巡る方が多いそうです。
やきもの散歩道A・Bコースの詳しいご説明はこちら
やきもの散歩道Aコースには、たくさんの土管が連なる壁、そびえ立つレンガ造りの煙突、陶器の廃材が埋め込まれた幾何学模様のような坂道など、思わず足を止めずにはいられない光景がたくさん。
また、廻船問屋の邸宅を復元した「廻船問屋 瀧田家」や、日本で現存する登窯としては最大級の「登窯・陶栄窯」などの歴史を感じさせる建造物が、迷路のように入り組んだ道沿いに点在しています。
一方で、歩く道すがらには猫やお地蔵様の像が見られたり、常滑焼を扱う雑貨屋やカフェがあったり。
古き良き物と新しく斬新なものが絶妙になじんでいる、おしゃれで可愛さ満載の散歩道になっています。
≪陶磁器会館≫
【住所】愛知県常滑市栄町3-8(散歩道の地図を配布しているスタート地点)
【アクセス】名鉄「常滑」駅から徒歩約5分
プチトイレをお土産に!一味違う展示や体験が詰まった「INAXライブミュージアム」
やきもの散歩道Aコースを歩いた後は、Bコースにも含まれている「INAXライブミュージアム」へ訪れてみてはいかがでしょうか。
ここは、お手洗いなどの水回り陶器メーカー「INAX」が作った体験型ミュージアム。
敷地内には、「世界のタイル博物館」「土・どろんこ館」「窯のある広場・資料館」「陶楽工房」「ものづくり工房」「建築陶器のはじまり館」の6つの館と、ミュージアムショップやレストランなどがあります。『観て、触れて、感じて、学び、創りだす』をテーマにした、「INAXライブミュージアム」の見どころをご紹介しましょう。
まず、『観る』というテーマの一番の見どころは「世界のタイル博物館」。
壁面や天井などを彩る装飾タイルを中心に、エジプトやイスラム、スペインやオランダ、中国、日本などの紀元前から近代までのタイル約1000点を展示。装飾タイルの歴史や発展の過程も紹介しています。
鮮やかな色使いや複雑な形、細かい彫り物など、1枚1枚が芸術品のようなタイルはうっとり見惚れてしまう美しさです。
続いて、『触れる、創り出す』を体験できるのが「土・どろんこ館」と「陶楽工房」。ミュージアム一番人気のスポットでもあります。
「土・どろんこ館」ではオリジナルの『光るどろだんご作り』や『土のパステル作り』「陶楽工房」ではタイルを使った『デコ・モザイク体験』や『タイルの絵付け』、またINAXらしい『プチトイレの絵付け体験』もできます。
大人も子供も時間を忘れて夢中になってしまいそうですね。
プチトイレはミュージアムショップでも購入できるので、体験する時間がなかったら自宅で楽しむことができますし、お土産としても面白いですね。
他にもここでしか買えないオリジナル手ぬぐいやトイレットペーパーなどお手洗いに関するオリジナルグッズが多いのもINAXミュージアムならでは。
トイレに関する展示も、歴史的に貴重な物からユニークなデザインの物まで幅広くあり、ひとあじ違う楽しい体感・体験ができるミュージアムです。
【住所】愛知県常滑市奥栄町1-130
【営業時間】10:00~17:00(入館は16:30まで)
【休業日】水曜日(祝日の場合は開館)、年末年始
【アクセス】「中部国際空港」または名鉄線「常滑駅」から知多バス「知多半田駅」行き、「INAXライブミュージアム前」下車徒歩5分
【Webサイト】https://livingculture.lixil.com/ilm/
掘り出し物に出合えるかも!「セラモール−とこなめ焼卸団地」
やきもの散歩道を散策した後は、少し足を伸ばしてセラモールに行ってみてはいかがでしょう。
このセラモールは50,000㎡の敷地に12店舗のやきもの卸売り専門店が連なる国内でも珍しい陶磁器のショッピングモールで、お土産を買うのにぴったり。
常滑焼の伝統的な技法を用いた陶芸作家や常滑焼伝統工芸士の作品をはじめ、常滑焼の代名詞とも言うべき朱泥の急須、お茶碗や湯のみなどの食器、日用品や着物や雑貨まで、幅広い商品を取り揃えています。
どのお店も卸売店なので、市販価格よりリーズナブルなのも魅力のひとつ。
お店によっては常滑以外の焼き物や海外の商品、アウトレット品を扱うお店まであるので、思いがけない掘り出し物に出合えるかもしれません。このショッピングモール、つい財布の紐が緩くなってしまう危険大です!
【住所】愛知県常滑市金山字上砂原99
【営業時間】9:00〜17:00※営業時間は各店舗で異なります。
【休業日】年中無休
【アクセス】名鉄「名古屋」駅から、常滑線「常滑」駅下車。常滑駅からタクシーで約10分
【Webサイト】http://www.ceramall.or.jp/
「故きを温ね新しきを知る」を体現した町・常滑。町並み、ミュージアム、体験、買い物…色々な角度から焼き物の奥深い世界を楽しんでみて下さい。